(ΦωΦ)

ブックマーク・気が向いた時の、ちょいメモ。

妊婦のウイルス感染 出生児の情動に悪影響 三重大確認


伊勢新聞 2014/6/7(土)
 
【津】妊婦中にウイルス感染すると、感情のコントロールなど、出生児の情動や認知行動に悪影響を与える可能性があるとの研究成果を、三重大院医学系研究科の大河原剛講師(41)=発生再生医学=の研究グループが、ラットを使った実験で確認し、六日発表した。日本小児神経学会の専門誌「ブレインアンドディベロップメント」の電子版に掲載されている。

 大河原講師らによると、妊婦のウイルス感染は、白内障や難聴などの子供が生まれる可能性があることは知られていたが、情動や認知行動への影響については分かっていなかった。研究グループは「同様の研究結果はこれまでになく、世界初だ」としている。

 研究グループは、脳内で精神を安定させる働きをする「セロトニン神経細胞」に着目。人工的に合成した実験用のウイルスを妊娠九日目のラットに投与し、六日後に胎児の脳を調べたところ、セロトニン神経細胞の数が通常より一割程度増加する異常がみられた。

 さらに、グループはセロトニン神経細胞の伝達物質についても調査。疑似ウイルスに感染したラットから生まれた生後五十日のラットについて、脳内にある海馬を調べた結果、伝達物質の量が通常より半減した。生後五十日は、人間の十二―十六歳に相当する。

 大河原講師とグループの成田正明教授(52)は同日会見し、「妊娠中の感染予防がいかに大切かを示す結果。子の認知行動に関する障害を防ぐことも期待される」と成果の意義を強調。「今後はウイルスが神経に異常を引き起こすメカニズムを解明したい」と述べた。